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からだにやさしい腰の治療をめざして
京都第一赤十字病院 整形外科 副部長 大澤 透
整形外科で主に脊椎脊髄病を専門に診療にあたっております大澤です。
今年のはじめ、あの超多忙なことで知られる某テレビ番組の司会者MM氏が腰部脊柱管狭窄症という疾患で手術を受けられたことは記憶に新しいことと思います。手術後短期間で番組に復帰され、周囲の人たちのみならず、日本国民の多くが驚いたものでした。このことでもおわかりいただけるように、脊椎外科における最近の手術手技の進歩はめざましいものがあります。ズバリ!内視鏡技術や顕微鏡手術の導入による患者様にやさしい低侵襲手術が、最近の治療の基本戦略です。当院におきましても、積極的に本技術の導入に努めています。
さて、このMM氏が患った腰部脊柱管狭窄症は、高齢化社会を迎えた現在、とみに患者数の増加が著しい疾患であり、当院にも数多くの患者様が受診されています。歩いたり立ったりしているだけで腰から下肢にかけて神経痛やしびれがでて患者様を悩ませる病気です。内服加療や物理療法などでは効果の十分でない方が手術適応となります。中には80歳を超える方々もおられます。
そのうちのお一人、Sさんの例をご紹介いたしましょう。Sさんは御年83歳であります。1年あまり外来通院され保存的治療に限界が見え始めた頃、とうとう手術を決断されました。いつも奥様を連れて来院される、とても仲のよさそうなおしどり夫婦です。術前には「足腰が痛くなって家内について歩くことができない、買い物に一緒にいけない」と悩んでおられたのですが、術後3日目には院内を歩いておられ、その段階で症状が改善していると実感されていました。術後2週間の退院時には「これからの人生を楽しみますよ」と笑顔でおっしゃられました。人生を楽しむ、生きることの喜びを再び取り戻すことができたという気持ちが患者様から伝わってきました。多くの高齢者が、手術に消極的になられることが多いなか、積極的に人生を生きようとしているSさんの姿に感銘を受けました。本疾患は直接命に関わることがなく、安静にさえしていれば症状がおさえられるため、患者様は家に閉じこもりがちになっていきます。そんなとき、少しのお手伝いをさせていただければ、社会復帰し、人生を取り戻すことができるのです。
手術は顕微鏡視下低侵襲手術を取り入れており、腰背筋を傷めることなく術野を展開し(
MILD法: Muscle preserving interlaminar decompression, 八田ら, Medical Postgraduates 2004;42:88-94)、安全かつ体にやさしいものです。入院期間は2週間です(当院クリニカルパス参照)。症状にお悩みの方、人生の再出発を考えている方がおられましたら、まずはご相談ください。正確な知識を提供することから、治療ははじまると信じています。
京都第一赤十字病院 広報誌絆から引用
京都第一赤十字病院 脊椎脊髄専門外来
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