京都市北区の内科医院です。消化器内科、糖尿病内科、高齢者にやさしい医療、膵臓疾患、地域医療連携を得意としています。

HbA1c (ヘモグロビンエイワンシー)が変わりました。

糖尿病のコントロールの指標のひとつにヘモグロビンエイワンシー(HbA1c)というものがあります。血液を採ったときから、1から2ヶ月くらい前の血糖の状態が、どの程度であったかを反映してくれる大切な値です。
2012年4月から、HbA1cの測定値に変化があります。
「毎月、食べ過ぎたり、少し頑張って減らしたりしたら測定値は変わっているよぉ」
と患者様から言われてしまいそうですが、そういう変化ではありません。
今の日本ではTPP問題でも海外出張でもなんでも、世界と大変近くなっています。東京出張に行く感じで、インドや中国に行かれているビジネスマンも多いように思われます。
医学の社会でも同じようにグローバル化が進んでいます。HbA1cという糖尿病の状態を知るのにとても有用な検査値はいままで、日本で測定していた値と、海外の多くの国々で測定されていた値にずれがありました。少し前から日本の学会でも、HbA1cの値を用いるときには、日本で使われている値(JDS値:Japan Diabetes Society値)か、国際的な値(NGSP値:National Glycohemoglobin Standardization Program値)かを明記し、学会発表などでは主にNGSP値を用いるようにとされていましたが、とうとう日常臨床でもNGSP値に一本化する方向となったのです。しばらくは、どちらの値も用いられるようですが、遠からずNGSP値に切り替わるでしょう。
具体的には、たとえばHbA1c(JDS値)が6.5の方ならばNGSP値では0.4多い6.9となります。詳しい換算式もありますが、おおむね今までの値に0.4を足すとこれからの値になるわけです。
数値が大きくなったからといって、決して、コントロールが悪くなったわけではありません。2年近く前に日本糖尿病学会の糖尿病診断基準としてHbA1cが6.1以上という項目がありましたが、それも6.1+0.4で6.5以上になります。なんだかよく分からない狐につままれた感じですね。きっとそのうち慣れていくんでしょう。
皆さんの感覚では治療を頑張っているのに数値が上って損した気分になるかもしれません。しかし、もしかするとこれはチャンスかもしれませんよ。数値が高くなると頑張ってよくしなくちゃという危機感を持つ患者様が増えるかもしれません。人間ってかなり単純ですから、損した分を取り戻すべく食事運動療法に努めていただけないかしら、などと、それこそ勝手な期待をしているところです。