京都市北区の内科医院です。消化器内科、糖尿病内科、高齢者にやさしい医療、膵臓疾患、地域医療連携を得意としています。

膵臓のはなし

膵臓がどこでどのような働きをしているかご存知ですか。膵臓は腹膜の後ろで胃と背骨の間にある長さ15cm、幅3~5cm、厚さ2cm程の白っぽい臓器です。奥でひっそりしている見かけとは裏腹に、膵臓はとても重要です。食物が胃内で胃液による消化を受けた後、膵臓からは蛋白質や脂肪を分解する酵素と、胃酸を中和するための重炭酸が分泌されます。この膵液は、十二指腸で食物を吸収できる形に消化します。一日の膵液分泌量は1~2.5リットルにもなります。膵液がなければいくらたくさん食べても、食べ物はうまく吸収できないのです。また血糖を下げるインスリンも膵臓から分泌されます。膵臓の働きが落ちると、糖尿病が悪くなるといわれるのはそのためです。
 ところで急性膵炎とはどういう病気なのでしょうか。1987年厚生省の調べでは、急性膵炎患者さんは日本で年間1万5千人弱、そのうち重症急性膵炎は年間1500人程度です。働き盛りの男性に多く、原因としては第1位がアルコール、他に胆石性や原因不明のものもみられます。わが国のアルコール摂取量は年々増加しており、アルコール性膵炎の増加が予想されます。酒類を飲んだり脂肪を多く食べたりすると、膵液量が増え膵に負担がかかります。
 普段は黙々と働いている膵臓ですが、負担がかかり過ぎると消化酵素で膵臓自身を溶かし始め、炎症を全身に波及させ、ひどい腹痛や背部痛、高熱を発します。これが急性膵炎です。重症化すると死ぬこともある大変な病気です。
 いつも膵臓に負担をかけていらっしゃる方は、静かにがんばっている膵臓にたまには休息をさせてあげましょう。

この文は朝日新聞、”ほ~むめいどあさひ”2001年9月、”健康通信すこやか”掲載されました。